うつパパ育児

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うつ病のパパが綴る子育て生活

うつ病改善のヒント⑦「限界を把握する」

 

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うつ病患者に『頑張れ』と言ってはいけない。何故ならもう十分頑張っているから」

これがセオリーとして知られている。もちろんそれは正しいし、僕も知人がうつ病になったらそんなこと言わない。

しかし、現役うつ病患者の僕からほんの少しの頑張りについて敢えて述べたい。

 

いつか復職や何かしらやらなくてはいけないときが来るかもしれない。

そのためには普段から自分の限界を把握することが必要で、少しだけ頑張りがいる。無理のない範囲で普段から少し頑張り色々やることで、自分のできることできないことが判別できるようになるからだ。結果できなくても良い、できないということが分かったのだから。うつ病患者の一寸先は闇、いっぱい頑張ると転落する恐れがある。ひたすら安静にして自分のできることできないことを把握せずに復職なんて、例えるなら酸素ボンベの残量を知らずに深海へ潜るようなものだ。何かを成すためではなく自分を把握するための、日頃の少しの頑張りだ。

周囲の人はうつ病患者の症状がよく分からないので(分かろうとしてくれても)、今の自分には難しいことを提案してきたりする。出来ると思ってやったら出来なくて、落ち込む。だから、その前に自分からできそうなことを見つけ自分から提案しよう。

貢献しようとしていることが伝わり、快くサポートも引き受けてくれたりする。

「△△はまだ難しいと思うのですが、〇〇ならできかもしれません。ただうつ病で注意力が落ちていてミスがあるかもしれません。念の為にこまめにダブルチェックしていただけますか?」

こんな感じだ。

自分の限界を把握しよう。そのために日頃のほんの少しの頑張りを試みよう。

 

うつ病改善のヒント⑥「判断力を取り戻す」

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ご飯はハンバーグに決めた!

 

うつ病になったら大事な決断をしていけない、正常な判断力が欠如しているから」

これがうつ病になったときのセオリーとして広く知られている。急性期どん底のころはその通り、退職や離婚などは避け大事な決断はできるだけ先延ばしにした方が良い。どうなるか分からないからどうしたら良いのか分からない、自分では何も決められないし決める自信もない。何もしたくない、というか横になってるだけで焦燥感に駆られる、そんな状態なのである。

しかし、うつ病の症状が少しだけ落ち着き始めたら、段階に合わせて徐々に判断力を取り戻す練習をした方が良い。

 

最初はほんの小さなこと、例えば「ご飯何が食べたいか」といったことでいい。ふざけているわけではない、そんなことすら決められなくなっているのが急性期のうつ病患者だ。まずは考えて決める感覚を取り戻すことから始めよう。そこから少しずつ自分で考えて決めることを広げる。買い物なんかは調度良い。体が動けばスーパーでもいいし、体が動かなければネットでもいい、選んで決める練習をしよう。

 

1つ選ぶためにはそれに関することをいくつか調べる必要があるものだ。例えば最近僕はドライバーを買った。眼鏡のネジを締めるための先の小さな精密ドライバーが欲しかったからだ。有名なメーカー、ドライバーにサイズがあること、プラスマイナス以外に先端の種類があること、グリップにも種類があること、実際の眼鏡のネジのサイズ、小さいネジだからネジが先端にくっついたら便利→磁石の有無、など。検討した末に1本だけ買った、金額は大したことはない、200〜300円程度の買い物だ。でも1本のドライバーを選んで僕はとても満足した。

何が言いたいかというと、自分が本当に必要とするドライバー1本ですらきちんと選ぼうとすればこれだけ調べることがあるというのに、ろくな調べもせず(できない状態で)退職や離婚やあげく生死について検討しているのだから急性期のうつ病患者は文字通り正気の沙汰ではない(それは当然。うつ病の症状としてあらゆる負の「認知の歪み」が襲っているのだから)ということだ。そういう状態にあることを自覚して、幸運にも大事な決断が先延ばしにできたなら、その間に選んで決めるということを少しずつ練習してほしい。

「ご飯のメニュー」から決め始め、時間はかかるかもしれないがドミノのように徐々に大きなことへ、その末に職・婚姻・生死などをきちんと検討できる判断力が戻ってくる。

 

過去記事でも書いたが、選んで決めることは自己肯定感につながり、うつ病患者に限らず健康・人間関係に次いで幸福感につながる大事な要素でもあることが知られている。うつ病改善につながると僕は思っている。

(注※ 大事な決断が先延ばしできない状況なら医者や信頼できる第三者に相談してください。買い物は一例です、買い物依存にはならないよう気をつけて下さい。)

父親の担う役割とは②

 

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初めての友達、それが父親

父親がまずやるべき事は妻を労ることだと過去に述べた。

では、次にやるべきことは何だろうか。

それは「息子と遊ぶこと」である。そしてその時間が長ければ長いほど息子の人生において良い影響を及ぼす。

 

長年、母親と子どもに関して研究されてきたが、父親の及ぼす影響はあまり研究されていなかった。しかし近年は父親と子どもの関係に関して研究が進み、父親の及ぼす影響が実は非常に大きなものであることが分かっている。

その中で最も大事なのは父親との関係は息子の「人間関係の確立能力」、言い換えれば「コミュニケーション能力」の発達に大きな影響があるということだ。

母親と息子は妊娠10ヶ月もの間を文字通り一体となって過ごし、出産後すでにその関係は深いものとなっている。一方、父親と息子は生まれてからゼロから関係を確立していかなくてはならない。息子にとって父親とは初めての他者であり、微妙な距離感の父親と関係を築いていくことがその後の人生において人間関係を作る上で大きな影響を及ぼすのだ。母親では距離が近すぎるのである。 

母親には分からない息子のツボも父親なら分かる、昔は自分も男の子だったのだから。また全体的な傾向としても父親の方が息子に色々と「やらせてみよう」とするようで、息子の好奇心を満たす。友達のように遊ぶのだ。

 

父親が母親になろうとしてはいけない。

夫と妻が揃っている場合、それぞれの役割は違うのである。

時間や体力が限られている場合、まず家事を少し手伝うぐらいなら妻とのコミュニケーションを深く行う方が良い(共働きなら分担して当然だが)、その方が妻の満足度も高い(という研究結果がある)し、夫婦の良好な関係の中で息子は安心を得ることができるだろう。そしてその次はやはり家事ではなく、育児書や研究が示唆する息子の今後の人生への大きな影響を鑑みれば父親は息子と少しでも長く遊ぶべきなのだ。

というか家事はなるべく夫も妻もやらなくて済むように家電や冷食を導入した方が良い。

 

最後に、上記の父親の影響はそういう相関があるということで、父親がいなくても良好な人間関係が築けるようになる人は沢山いるし、必ずしも生物学的な父親でなく社会的な父親でもいい。

全体を通してひとつ伝えたいのは息子のコミュ力に関して必ずしも父親が社交的でなくとも良い、ということだ。 息子とちゃんと遊びさえすれば。

イタズラやドキドキを与え、好奇心、冒険心を育もう。

(※父親が娘に与える影響ももちろんあるが、あまり調べていません。)

 

父親に関して多数育児書を読んだが最もおすすめなのは最近出版されたこれ。

父親の科学―見直される男親の子育て

父親の科学―見直される男親の子育て

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  • 出版社/メーカー: 白揚社
  • 発売日: 2019/06/17
  • メディア: 単行本
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