前回、アメリカの育児やタイムアウトについての記事を書きました。
皆さんはどう思われたでしょうか。
僕はそんな可愛そうなことを、と思いました。おそらく日本人なら多くの方がそう感じるのではないでしょうか。
それと同時にこう思われたのではないでしょうか、
「そんな可愛そうなことをする前にやれる事があるだろう」
そうです、あるのです。
タイムアウトが悪いと言ってるわけではありません。問題はタイムアウトをやるかどうかと言う事態に陥って初めて、「もっとやれることがあったのではないか」と気づくことです。
しつけと言うと、「しつけがなっていない」という言葉が湧いてきます。嫌なフレーズです。ともすれば「しつけ」という言葉自体に負のイメージすらあります。
だから調べることすら避けてきた方もいるのではありませんか?
私たちはしつけの方法を詳しく知らないのです。
そもそもしつけとは何でしょうか?
人様に迷惑をかけないように育てることだけがしつけだと思っていませんか?
それは違います。
我が家の育児指針たる佐々木正美先生の言葉を借りれば、
「しつけというのは、社会的に容認される行動を親の価値観で濾過して、子供の自尊心を傷つけないように、なおかつ問題に積極的に取り組む姿勢を作り上げることです。」
「いろいろな人の、いろいろな観点があるのでしょうが、私は社会的に歓迎される行為を、自発的に、意欲的に、習慣的にできる能力が身に付くように子供を導くことだと思います。」
『佐々木正美著 子育て百科』より引用
つまり、しつけの目指すべきは社会的な自立です。
もちろん子供にはそれぞれ個性があり、性格があり、誰1人として同じ子供はいません。その子に合わせたアプローチ、しつけをしなくてはいけないでしょう。しかし、最終的に目指すところは同じです。
鼻水を垂らして甘えたり遊んだりしている目の前の我が子からは、いずれ社会に出るということを想像もできないから、私たち親は往々にしてそれを忘れてしまいます。
しかし、来たるべきその時に向けて導くことこそがしつけです。
社会的な自立とは
自立と言うのは1人で何でもできると言うことではありません。時に人を頼り、人に頼られることです。時には誰かに迷惑をかけ、その逆もあるでしょう。
しかし社会には法があり規律があり、小さなこどもだからある程度は許容されるとしても、徐々に教えていかなくてはなりません。
そのためにどう育児をしていくのが良いのでしょうか。
具体的にはどのようなことを叱り、どのように褒めていくのかと言うことです。
小さい時は思う存分褒め甘やかしていいのです。佐々木正美先生は「基本的信頼(ベーシックトラスト)」と言う言葉を用いて表現していますが、乳幼児の頃に親子の間でしっかりとした信頼関係が結べていて、日頃子供の欲求をよく満たしてあげていれば、叱るにしても、しつけを強制するにしてもうまくいくものだと仰っています。思う存分甘やかし手をかけ信頼を結んだ後、時期が来たら叱ることも始めましょう。
子供にも家庭状況にも個人差があり一概には言えないのですが、複数の育児書が意見を等しくするいくつかのルールがあります。
それを見ていきましょう。
共通する叱り方のルール
- 叱らないですむ環境作り
- 自分が見本になる
- 一貫したルール
- 共感
- 端的に感情的にならずに
- 理由を説明
- 不注意や失敗では叱らない
- 比べない
叱ることに関して複数の育児書が示す具体的なルールとしては、
・まずは親がなるべく叱らないで済む環境を整えることです。 子供が暮らす部屋から危険なものを取り除く、もしくは手の届かないところに移動させましょう。危険なものに触ろうとするから叱ると言うのは、手の届くところに危険なものを置いておく親が悪いのです。しかし良くあるパターンです。
・自分がお手本となる行動を示しましょう。
・大きく叱るときは一貫性を保ちましょう。これだけは、と言うものをいくつかに絞って叱るようにした方が良いでしょう。例えばこどもの身が危険に晒されることや、注意を引くために人を叩いたり危ないものを投げたりといったことです。小さな好ましくない行動に関しては無視していればしなくなる、または軽く叱るという二通りがあります。
・しかし子供に共感し、子供の身になって考えてみると、何故そのようなことをしたのか分かるときがあります。寂しさや悲しさが背景にあるのかもしれません。また共感していることを言葉で伝えましょう。
・叱る時は端的に、また何故叱ったか理由も説明しましょう。
・体罰や罵る脅かすような言い方は短期的にも長期的にも有害です。
・子供が何かをしようとして不注意や失敗をしたとしても、それは結果であって過程が悪くなければ危険がない限り叱らないようにしましょう。
・他の誰か(よその子や兄弟、昔の自分など)を引き合いに出して比べることはこどもの自尊心を傷つけます。
共通する褒め方のルール
- 過程を褒める
褒めるべきは過程であって、結果ではないのです。頑張った過程を褒められることが、向上心を伸ばし、失敗を恐れないこどもを育てるのです。
以上。
褒めるはそれだけ?とお思いでしょうか。
いえ、褒めるというのは非常に奥が深いのです。
叱るシチュエーションがある程度共通するのに対して、褒めるシチュエーションは他者とのつながり・性格・長所短所・自己肯定感・遊びや学習などが関わってきて、奥が深すぎて多岐にわたるのです。
褒め方のルールが短いのは、決して記事を書くのに疲れたからじゃありません。
本当です。
忘れないでいただきたいのは叱るも褒めるも自立へ至るための方法である点では同じだということです。褒めることが必要であることと同じく、叱ることを忌避してはいけないということです。ただし使い方には注意点があるため、落ち着いて効果的に使用してください。
続く