うつパパ育児

うつパパ育児

うつ病のパパが綴る子育て生活

生物飼育のデスゲーム

息子は目がいい、虫を見逃さない。

そして網で捕まえる。

「可愛そうだから逃がしてあげようよ」

「いやだ、飼いたい」

飼いたい飼いたいと泣くので飼育を始めるのだが、特に詳しくもない僕なので何と言う名前の生き物で検索したらいいか分からない。数日内にそれの名前を特定できなければ、適切な飼育ができず死なせてしまう。そんな捕まえたそれの生死のかかったデスゲームが連日開催された日々があった。

寝ている間にそれを逃がすなどという無碍なことはできなかった。

DAISOで飼育ケースを大量に買い、部屋のラックにずらりと並べ、並行して図鑑でネットで検索しまくった。でも本当は全部投げ出して寝たかった。だってうつ病だから。

バタバタとそれらが倒れていく中、かろうじて生き残り寿命を全うしたそれも結構いた。

それが寿命を全うしたときは悲しいながらも達成感もあり。

生き物を捕まえる楽しさ、生き物によって違う飼育環境や餌の奥深さよ。休日に一緒に公園へ森へ川へ捕まえに行くことも多くなった。疲れるけど健康的で充実していた。

「よし、今日も捕まえに行くか!」

「いや、もう行きたくない。家でブロックしたい」

「お父さん捕まえたいから付き合ってよ」

「いや、もう大丈夫」

飼育デスゲームは唐突に終わりを迎え、その日の内に捕まえたそれらの生き残り全員を逃がしてあげた。

 

「僕もいつか家を出て働くんだよ」

妻はこどもに色々教える時に、「君がいつか大人になって家を出る時がくる。その時に困らないように厳しく教えている」と息子に言っていた。

 

ある日息子が

「いつか僕は家を出て働いて結婚するんだよね」

と言ったら、妻は寂しくて泣いた。

その後、「小学生になったときに困らないように厳しく教えている」に変わった。

夜寝る前のお父さんの言葉を信じてはいけないよ

夜、睡眠薬を飲んで1時間経ったくらいから僕は夢遊病のように行動する。

妻の話を聞くと、ものにぶつかることもなく歩き、特に眠そうな様子もなく、いつもどおり普通に受け答えをしているらしい。「うん、わかった」「それでいこう」などと言っているが、翌朝そのことは覚えていない。

翌日言われて思い出すこともあれば思い出せないこともある。

ちゃんとベッドにたどり着いて寝ることが多いが、おもむろに台所や廊下で寝始めたこともある。

息子が手を引いてベッドまで連れ行ってくれたこともある。

もちろん覚えておらず、翌朝に言われて思い出す。

 

ある夜、息子が

「お父さん、アイス食べても良い?」

「うん、いいよ」

一緒に食べて歯磨きをしてベッドで寝た。

翌朝息子に言われて思い出して、

夜寝る前に甘いものを食べたらいけない。夜のお父さんは寝ぼけているからそのときの言葉は信じたらいけないと伝えた。

でもその後、似たようなことが3回くらいあって、

良心が咎めたのか言わなくなった。

いやきっと飽きたんだろう。