夜、睡眠薬を飲んで1時間経ったくらいから僕は夢遊病のように行動する。
妻の話を聞くと、ものにぶつかることもなく歩き、特に眠そうな様子もなく、いつもどおり普通に受け答えをしているらしい。「うん、わかった」「それでいこう」などと言っているが、翌朝そのことは覚えていない。
翌日言われて思い出すこともあれば思い出せないこともある。
ちゃんとベッドにたどり着いて寝ることが多いが、おもむろに台所や廊下で寝始めたこともある。
息子が手を引いてベッドまで連れ行ってくれたこともある。
もちろん覚えておらず、翌朝に言われて思い出す。
ある夜、息子が
「お父さん、アイス食べても良い?」
「うん、いいよ」
一緒に食べて歯磨きをしてベッドで寝た。
翌朝息子に言われて思い出して、
夜寝る前に甘いものを食べたらいけない。夜のお父さんは寝ぼけているからそのときの言葉は信じたらいけないと伝えた。
でもその後、似たようなことが3回くらいあって、
良心が咎めたのか言わなくなった。
いやきっと飽きたんだろう。