うつパパ育児

うつパパ育児

うつ病のパパが綴る子育て生活

「おとうさん、うつびょうってなに?」

唐突にきた。

自分でも驚くほど不思議なことに、これに対する返答を準備していなかった。

我が家ではうつ病という言葉はこどもにはなるべく聞かせないようにしていた。小さなこどもでは理解するのも難しいだろうし、よく分からないまま使って欲しくない言葉だから。大人だって十分理解するのは難しい。しかし自然と耳に入ってくるものだ。どう答えたものかなと少し悩んで、

「疲れやすいってことだよ」

と答えた。

ふわっとした答えだがだいたい合ってるはず。

「ふーん」

そんなに興味はないようだ。それ以上聞いてくることもなく、遊び始めた。

辛かった色々なことを話すにはまだ早い。

あの特に症状がひどく動けなかった数年間、薄暗い部屋で訳の分からない憂鬱と焦燥感でベッドに縛り付けられた僕を救ってくれたのは、散歩に行こうと手を握って玄関から引っ張り出してくれた小さな小さな君だったんだと、いつか伝えられたら良い。

小さな僕には小さな島が居心地がいい

僕はうつ病になって小さな人間になった。

大きな夢を語ることはなくなって、いつも今の自分で実現可能かどうかを吟味している。

遠い未来を見ることはなくなって、今日一日を何とか生き抜いている。気にするのは明日の予定ぐらいだ。

人間関係は家族と職場だけ。

旅行なんか疲れるから行く気にもならない。

出張は最低限。

疲れないよう疲れないよう過ごしている。

 

そんな小さな僕には小さな島が居心地がいい。

一時間でぐるりと一周して家に帰ってこれるこの島がいい。

都会ではどれくらいかけてお出かけをしたら遠出だったろうか。1時間の通勤も苦もなくこなしていたし、半日車を運転したら遠出したと言っていたような気がする。

それがこの小さい島ならば、30分運転して遊んで帰ってきたら、「遠出したねえ」と言われる。海にも山にも30分で行ける。

子どもも満足。

実に時間対効果が良い。

これに慣れてしまうともう都会に戻れる気がしない。

代わり映えのしない毎日は飽きることなく、安心感を与えてくれる。

多くの人が閑散とした印象を持つだろう広々とした風景は、僕の心も少しだけ広げてくれる。

 

小さな僕には心地よくちょうどいい小ささだと思う。

大自然の中で今日も僕は引きこもっている。

島暮らしがうつ病に与える影響

幸い妻も息子も元気で、島に馴染んでいる。

優しく見守ってくれた妻には感謝しかない。

 

Q_島にいったらうつ病が改善するような淡い期待はどうだったか?

A_体調は良くなった。島の環境の影響も良かったと思う。

 

島に移住したからすぐに病状がよくなるということはない。

ただ、仕事を終えて疲れた帰り際に職場のドアを開けた時にいつも広々とした空が広がっているとか帰り道が眺めが良いとか、そういう身近な小さな自然が毎日少しだけ心を軽くしてくれたような気がする。

 

でも最初はやっぱり仕事きつかったな。仕事内容が大きくは変わらないけどうつ病だし慣れるまでは苦労したな。

育児には島いいね、面白い子に育った。でも雨の日は行くところないね。

妻は島を気に入っているみたいだ。でも妻にもいろいろあった。

当たり前だけど、島の人は皆が皆良い人だらけというわけではない。

 

このあたりはまた別記事で書きたいと思う。