うつパパ育児

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うつ病のパパが綴る子育て生活

うつ病どん底だったあの頃の育児⑤【乳児後編】

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変わらぬ信頼を寄せてくれた君

仕事でミス乱発。早退することもあった。朝目覚めると体が重く、突発的に有休を取るようにもなっていた。その有休ももう無くなりかけていた。上司とともに通院している病院へ行き、休職することになった。

前職から数えて通算3度目の休職。

期限はあるが休職中も給料は出してくれるとのことで、それはありがたかった。経済的な不安はうつ病患者を悩ませる最大の心配事だから。

ベッドに寝て、僕は天井を見ていた。

体が動かない。常に緊張しているせいか背中も痛い。焦燥感に駆られ、自己嫌悪に陥る。いつ良くなるかは分からない、良くなる保証もない。

僕はうつ病という鎖に繋がれて、家から一歩も外へ出ることができなくなった。

 

ただ、前職の2回の休職と違うことがある。赤ん坊だ。

ベッドから這い出し毎日我が子を抱く。今日も可愛い。僕はひと安心する。それは僕の中に感情が残っていることを示すモニターであった。

僕の状況などお構いなしに、息子は笑い、遊び、泣き、眠り、僕の顔を触り、横になっていれば体をよじ登り、そして信頼を寄せてくる。僕がうつ病であることなど、この子にとってはどうでも良いことなのだ。そこには当然ながら共感も慰めも励ましもないが、居心地がよかった。

休職にはなったが、その間我が子の成長を見守ることができたことは本当に良かった。初めてつかまり立ちをしたときには妻とともに喜んだし、僕の方へよちよち歩いてくる様子も可愛かった。息子をあやそうとアレやコレやと試したり、おもちゃを買おうと選んだり、育児のために本を読んだり部屋を改造したり、今考えれば自然と頭のリハビリになっていたのではないかと思う。息子が笑い、僕も笑う。妻も笑っている。

うつ病による虚しさ、心にぽっかり空いた穴を我が子が少しずつ埋めてくれた。

6ヶ月が経ち、僕の体調は少しずつ良くなっていた。

続く

うつ病どん底だったあの頃の育児④【乳児中編】

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突破口

当時最も悩ませていたのは我が子の夜泣きであった。

寝かしつけに関するいくつもの育児書を読んだが、全然効果はなかった。

「いつか夜泣きはなくなるだろう」と呪文のように唱えながら、また夜泣きが続く日々。

ファミリーサポートや一時保育は一時凌ぎにはなるが、根本的な解決にはならない。妻も生真面目なところがあるから自分も十分に疲弊しているはずなのに、それらを多用することに当時は否定的であった。

そんな時に目についたのが雑誌で1ページだけ割いてあった「cry it out」に関する記事である。

これは過去にも書いた。

utsupapaikuji.hatenablog.com

これが驚くほど効果があった。1週間もかからず、我が子はすやすやと朝まで寝るようになった(起きても泣かずに一人で再び寝付く)。そして妻と僕に余裕が生まれた。

 

ここから僕ら夫婦は学んだ。問題点を洗い出し、情報を集め、行動すれば、劇的に生活を改善させることがある、ということを。そしてその分子どもを可愛がることができ、良い育児に直結することを。

しかし、少し遅かったかもしれない。僕のうつ病はこの数ヶ月の間に悪化していた。恐れていた休職となるほどに。

続く

うつ病どん底だったあの頃の育児③【乳児前編】

 

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破裂寸前

 新生児の頃はお義母さんが食事を作ってくれ、洗濯をしてくれ、夜泣きに対応してくれ、買い物もしてくれ、妻のメンタルケアもしてくれていたのだ。そんなお義母さんが遠方へ帰ってしまった。他の孫の幼稚園の送り迎えやお世話だってあるのだから、いつまでも居られないのは当然だ。

正直これはヤバいと薄々気づいていた。でも深く考えなかった。

僕は愚か者であった。

お義母さんが居なくなって、一気に負担が増えた妻は情緒不安定になった。夜も定期的な授乳+不定期な夜泣きで、慢性的な睡眠不足。夫(僕)は夕方定時で仕事から帰ってくるが、だいたいうつ病でぐったりしていて、時に妻を休ませたり役立つこともするが、時につらいつらいと訴えてくることもある。

僕の転職に際して地元から遠方へ越してきた妻には頼れる家族も悩みを話せる知人もおらず、大層心細い思いをしていたのではないかと思う。

しかし僕もこの頃仕事は相変わらずミスが目立ち、転職後にまた休職に陥らないように自分の体調管理に必死であった。前職で二度休職した僕はあの恐ろしさを知っている。収入がなくなること、働けなくなることの怖さ、いや再び寝たきりに逆戻りになる可能性もある。一度転んでしまえば立ち上がるまでにまたどれだけの時間を費やさなくてはいけないのか。

お互いへの不満が口を出て、夫婦仲が険悪になったときもあった。

うつ病の夫と育児ノイローゼ寸前の妻。

我が家はどん底であった。

改善策を探しながらも有効な一手がない。そんな状態が数ヶ月続いたのち、僕ら夫婦はついに突破口を見つけることとなる。

続く