僕はうつ病になって小さな人間になった。
大きな夢を語ることはなくなって、いつも今の自分で実現可能かどうかを吟味している。
遠い未来を見ることはなくなって、今日一日を何とか生き抜いている。気にするのは明日の予定ぐらいだ。
人間関係は家族と職場だけ。
旅行なんか疲れるから行く気にもならない。
出張は最低限。
疲れないよう疲れないよう過ごしている。
そんな小さな僕には小さな島が居心地がいい。
一時間でぐるりと一周して家に帰ってこれるこの島がいい。
都会ではどれくらいかけてお出かけをしたら遠出だったろうか。1時間の通勤も苦もなくこなしていたし、半日車を運転したら遠出したと言っていたような気がする。
それがこの小さい島ならば、30分運転して遊んで帰ってきたら、「遠出したねえ」と言われる。海にも山にも30分で行ける。
子どもも満足。
実に時間対効果が良い。
これに慣れてしまうともう都会に戻れる気がしない。
代わり映えのしない毎日は飽きることなく、安心感を与えてくれる。
多くの人が閑散とした印象を持つだろう広々とした風景は、僕の心も少しだけ広げてくれる。
小さな僕には心地よくちょうどいい小ささだと思う。
大自然の中で今日も僕は引きこもっている。